2025年、アメリカにおける犬の襲撃による死亡者数は82名に達し、4年連続で過去最多を記録しました。米国・カナダの動物保護調査機関「ANIMALS 24-7」が、1982年以来43年間にわたり継続している種別統計によると、特定の犬種による被害が突出している実態が明らかになっています。
統計が示す圧倒的な偏り
2025年のアメリカ国内における死亡事故82件のうち、犬種別の内訳は以下の通りです。
- ピットブル: 64名(全体の約78%)
- カネ・コルソ: 3名
- ジャーマン・シェパード: 6名(ミックスを含む)
- ロットワイラー: 2名
- その他・不明: 7名
特筆すべきは、全米の飼育犬のうちピットブルが占める割合は約5.8%(約530万頭)に過ぎないという点です。飼育シェアがわずか数パーセントの犬種が、死亡事故の約8割を占めている計算になります。
犠牲者の属性と襲撃の状況
2025年の犠牲者82名について、ANIMALS 24-7の記録に基づく属性分析は以下の通りです。
- 子供(0〜15歳): 22名
- うち、生後1週間から1歳未満の乳児が8名を占める。
- 高齢者(60歳以上): 28名
- 成人(16〜59歳): 32名
犠牲者の約6割以上(50名)が、自力での抵抗が困難な子供や高齢者です。襲撃の多くは自宅内、または親族・隣人の飼い犬によって引き起こされており、「管理下の家庭犬」が致命的な被害を出しています。
参考元:ANIMALS24‐7の記事
各国の法的規制:ピットブル禁止・制限の根拠
「特定犬種への規制」は国際的な潮流となっており、以下の国々では法的な制限が敷かれています。
- イギリス: 「1991年危険犬種法(Dangerous Dogs Act 1991)」により、ピットブル・テリアの所有、販売、繁殖、譲渡が原則禁止。
- フランス: 「農業及び漁業法(L.211-12)」に基づき、ピットブルを第1カテゴリ(攻撃用犬)に分類。一般人の飼育、輸入、譲渡が禁止されており、公共の場所への立ち入りも制限。
- ドイツ: 「危険犬種移転・輸入制限法(HundVerbrEinfG)」により、ピットブル、アメリカン・スタッフォードシャー・テリア等の輸入を連邦法で一律禁止。州法により飼育には厳しい適性検査と高額な税が課される。
- オーストラリア: 「連邦関税(輸入禁止)規則」により、ピットブルを含む特定の5犬種の輸入を恒久的に禁止。
2025年の主な事例:シチュエーションの分析
- 多頭飼育による惨事: アラバマ州やフロリダ州では、飼い主がピットブルの「群れ(パック)」に襲われ死亡するケースが複数発生。1頭の攻撃が引き金となり、集団で捕食行動に転じる特性が顕著に見られました。
- 第三者への被害: テキサス州やジョージア州では、隣人の庭から脱走したピットブルに襲われ、高齢者が死亡する事件が相次いでいます。
なぜこの犠牲は繰り返されるのか
これほど明確な数字と、諸外国による厳しい規制が存在しながら、なぜアメリカでは犠牲が増え続けているのでしょうか。
「なぜこれほどまでに犠牲を生み出してまで、ピットブルを飼いたがる人がいるのか?」という問いに対し、私たちは感情論を排した「管理責任」と「公共の安全」の観点から向き合う必要があります。
日本においても、特定犬種に対する法的な「登録義務」や「飼育免許制」の議論を、これ以上の犠牲が出る前に本格化させるべき時期に来ているのではないでしょうか。
飼育愛好家の欲よりも、子供たちが安心して過ごせる街を優先する社会へ

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